矢野経済 23年度ラストマイル市場は3兆規模に
2023.09.06
矢野経済研究所(東京都中野区)は28日、ラストワンマイル物流市場に関する調査結果をまとめた。
それによると、22年度の市場規模は、配送料ベースで前年度比5%増の2兆9110億円と、荷物の取扱増加や物流費の高騰に伴って拡大傾向にあることから、23年度は9.7%増の3兆1940億円とさらに拡大すると予測している。
22年度は新型コロナウイルス禍で需要が急増した前年度と比べると伸び率はやや緩んだが、荷物の小口化や配送頻度の増加、人件費や燃料費など物流コストの上昇で市場は好調に推移した。
市場割合はEC(電子商取引)など通信販売事業が全体の6割を占め、通信販売事業の拡大に伴い宅配便の取扱個数が増加している。
また、フードデリバリーは微減だったものの、ネットスーパーや在宅配食など高齢者向け配送サービスは増加した。
配送種別では宅配便と自社配送の割合はそれぞれ71%、29%。矢野経済の分析では、宅配便取扱個数が緩やかに増加していくなかで、個人事業主や配達代行サービス業者に直接委託する「ノンアセット型」の自社配送の割合が徐々に増えていくと予想している。
23年度以降の展望としては、引き続き燃料費・人件費の高騰に加え、働き方改革関連法案の改正などを起因として運賃値上げの動きが活発化、さらに処方薬配送サービスなどが新たな需要を取り込むなどして好調に推移すると予想する。
30年度の市場規模は4兆円規模に達すると見込む。