全国にトラック中継拠点、交代で輸送 2024年問題に備え
2023.09.19
全国にトラック中継拠点、交代で輸送 2024年問題に備え
トラック運転手の不足が懸念される「2024年問題」に備え、長距離輸送の貨物を引き継ぐ中継拠点の整備を官民が始める。
国土交通省は主に中堅・中小企業向けに全国数カ所に設ける。
物流大手も鉄道コンテナに荷物を引き継ぐための拠点を新設する。
運転手の労働時間短縮と負担軽減につなげ人手確保を図る。
政府は24年4月からトラック運転手の時間外労働への規制を強化する。
企業は労働時間と休憩を合わせた1日の拘束時間を、宿泊を伴う場合を除いて最大15時間以内にする義務が生じる。
これまでは1人で輸送できた距離でも2人以上が必要になるケースが起きうる。
NX総合研究所(東京・千代田)は適切な手を打たなければ30年度に輸送能力が約34%不足する可能性があると試算。
野村総合研究所によると、30年には全国の35%の荷物が運べなくなる。
国交省は24年度予算の概算要求に物流問題への対策費183億円を盛り込んだ。
中継輸送の普及にこの一部をあてる。
運転手が日帰りできない片道約300〜600キロメートルの範囲を目安に出発地と到着地の中間地点に拠点を全国に複数つくる。
物流量が多い首都圏―宮城・福島、愛媛―関西圏が候補だ。一般道にある既存の道の駅の活用も検討する。
中継拠点の整備には複数の運転手で分担して運ぶことで日帰りできるようにする狙いがある。拠点では貨物を他のトラックに積み替えたり、運転手が交代したりできる。
国交省は先行して23年、関西と九州の中間にあたる広島県廿日市市で中継拠点「コネクトパーキング宮島」整備に着手。
事前の実験で「日帰り可能のため車中泊の負担が減る」との声があった。