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物流の未来、「自動化」への2つの挑戦

2024.08.28

7月中旬、建設中の新東名高速道路の新秦野―新御殿場区間で行われていた自動運転の実証実験を取材した。中日本高速道路(NEXCO中日本)のほか、KDDIや富士通、ソフトバンクなど10企業・団体がグループを設けて参加していた。
自動運転にはセンサーやカメラを搭載した車両単体で自動走行する方式と、道路側からも情報提供する「路車協調方式」がある。今回の実験は後者で、車、道路の双方の情報を組み合わせて安全な走行を実現する。
例えば、車が故障で停止した場合、その情報を道路側のアンテナを介して後続車に伝え、自動で減速して車線を変える。走行できなくなった自動運転車を遠隔操作で安全な場所に誘導する。こうした様々な実証実験を通じて路車間通信の仕様などを詰めるという。
今回は他の車は走っていない道路なので今ひとつピンと来なかったが、国土交通省は2024年度中にすでに開通している新東名の駿河湾沼津―浜松間でレベル4(特定の条件下での無人運転)のトラックの走行実験も始める。深夜に専用レーンを設けて路車間で情報を共有し、本線への安全な合流が可能か、前方の落下物に適切に対応できるかなどを確認する。
自動運転の実現は残業規制も加わって深刻になっている物流危機を乗り越える決め手のひとつになる。東名高速道路の23年度の1日平均の通行台数は42万台だが、その1割強はトラックなどの大型車だ。全国津々浦々に広がる配送網を維持し、地域経済を支えるためにも幹線道路での物流の省人化が欠かせない。
今回訪れた新東名の区間では今後、「自動物流道路」の社会実験も実施される。道路の路肩や中央分離帯、もしくは地下に専用空間を設けて、荷物を積んだカートが24時間運転する構想で、究極の無人運転といえる。政府は東京―大阪間に同道路を設けて、10年後をめどに一部区間を開業する方針を打ち出した。
農水産物や衣類など小口の荷物を自動で搬送できれば、その分、トラックの通行台数が減り、「高速道路の渋滞がかなり緩和する」(国交省)という利点もある。
一方で、建設費は地下を使う場合で3兆円を超すとみられる。一定の大きさのカートで運ぶのでパレットや荷物の規格の統一も欠かせない。
地下の物流道路で先行するスイスでは小売業者や郵便会社などが出資する民間が事業主体になっている。日本の場合、行政主導になりがちだが、物流業界はもちろん、荷主側も含めて幅広い企業が連携しないとうまくいかないだろう。大型車の通行台数が減れば、料金収入も減少し、高速道路の建設費を償還する計画に狂いが生じかねないという問題もある。
     
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