2年連続増収 22年度、物流費高騰には懸念
卸売業の売上高が回復している。
日本経済新聞社がまとめた2022年度の卸売業調査で全業種の22年度売上高は前の年度に比べて4.7%増と2年連続で前年実績を上回った。
新型コロナウイルス禍からの経済再開や富裕層消費の拡大を受けて幅広い業種で景況感が回復している。
ただ今後の景況感については人手不足などによる物流費の高騰で先行き懸念が高まっている。(詳細は6日付日経MJに)
22年度の卸売業全体の売上高(21年度と比較可能な415社)は前の年度比4.7%増の32兆3975億円だった。営業利益(同230社)は30.4%増で、2年連続の増益となった。
業績回復が鮮明なのが、高額消費の拡大や外出需要を取り込んだ業界だ。
時計・貴金属の売上高は18.6%増、スポーツ用品は14.9%増となった。
株高などの恩恵もあり、富裕層消費が時計や貴金属などの消費をけん引した。
スポーツ用品も新型コロナウイルス禍以降のゴルフ人気の高まりで、関連商品の販売が好調だった。
屋外でのスポーツの機会が増えたことでサッカーや野球用具といった需要も持ち直した。
食品も堅調で6.2%増。
食品卸最大手の日本アクセスは売上高が3.6%増となった。
冷凍食品市場が拡大したことで同社の強みである低温商品の需要が伸びた。
三菱食品は食品メーカーによる値上げの浸透や外食需要の回復で売上高は2.1%増えた。
一方で文具・事務機(7.5%減)、書籍・CD・ビデオ・楽器(12.1%減)の2業種の売上高は落ち込んだ。
巣ごもり需要の反動などが響いたとみられる。
21年から続く原材料・燃料高や人件費の高騰といったコスト高の影響は、引き続き卸売企業の業績を圧迫している。
今回の調査で仕入れ先などとの取引で、1年前に比べ値上げ要請が「大幅に増えた」と回答した企業は46.7%に達した。
「やや増えた」(26.9%)と合わせたメーカーの値上げ要請は7割に達し、2021年度調査より4ポイント程度減ったものの依然として高止まりしている。