宅配安全強化へ指針 9時間以上労働6割
2023.11.29
宅配荷物量の急増に伴って軽貨物車で配送業務を請け負う個人ドライバーは増えており、軽貨物運送事業者は21年度に20万9250業者と10年前から3割増えた。事故も目立ち、21年の軽貨物車による事故は4616件と16年から26%増えた。
一般的な運送業者は法律に基づき、各事業者に置く運行管理者を通じドライバーの安全対策を講じる。
軽貨物事業者は運行管理者の選任が不要で個人事業主が多く、安全知識を学ぶ機会が乏しい面があった。
このため国交省は個人ドライバー向けの指針を23年度中に初めて作成する。
健康管理の方法や過積載の危険性などを盛り込む。
軽貨物事業者向けの運行管理セミナーなどを通じて順守を呼びかけ、同省のホームページでも周知する。
安全対策を強化する背景に、事故の一因とされる長時間労働がある。
軽貨物運送事業者への国交省の23年の調査で、1日の平均労働時間が9時間以上と答えた割合が約60%を占め、15時間以上も7%だった。
国は運転時間について「2日平均で1日9時間以下」と定める基準を設けているが、14%は基準自体を知らなかった。
軽貨物運送事業は運輸局への届け出で始められる。個人事業主では労働基準法が適用されない。
規制も緩和され、22年10月から軽貨物車に加えて軽乗用車の使用も可能になった。