「配送拠点を集約」 2024年問題に対応
SGホールディングス(HD)傘下の佐川急便が「物流2024年問題」を見据えた対策を急ぐ。
24年4月からトラック運転手の時間外労働に年960時間の上限が設けられるなど規制が強化され、中長期的な人手不足の懸念が強まる。
燃料代や人件費の高騰も続くなか、サービス品質を維持しつつ、どう配送体制の効率化を進めるのか。
本村正秀社長に戦略を聞いた。
――物流24年問題にはどのように対応しますか。
「営業所の配置を見直し、配送拠点の集約を進める。
20年に大型物流施設『Xフロンティア』を都内に開設した。
これまで約10カ所に分散していた営業所を1拠点に集約したことでトラックの積載率が高まった。
1日に必要な大型トラックが200台も減った。今後は関西などにも同様の拠点を増やしていく」
「複数の荷主の商品を積み合わせる共同配送も推進したい。
足元ではドラッグストアなど小売大手のライバル会社同士が同じトラックで運ぶようになってきた。
国内全体の積載率は4割程度にとどまるので、配送を効率化する」
値上げをサービスに転換
佐川急便は個人向けの宅配便の基本運賃を24年4月から平均で約7%上げる。
23年4月にも8%上げており、初の2年連続の値上げとなる。
値上げ分を原資にトラック運転手の代わりに荷物を積み込む人材の確保や、配送効率化を目的とした拠点整備に充てる。
コスト上昇の価格転嫁や収益改善に向けた値上げの波は他社にも広がりそうだ。
値上げだけでなく、働き方を見直して業務負担を軽減する動きもある。
宅配最大手のヤマト運輸は運転手1人で集荷、配達、営業の機能を担ってきたドライバーの役割を分担する検証を都内の営業所などで進める。
集荷や配達を専門とするスタッフを設けた方が効率よく営業できるとみて、24年以降の本格展開を目指す。
佐川も日本郵便と組み、配達先の不在で持ち帰った荷物を郵便局で受け取れるサービスを始めた。
まず東京都と中国、四国、九州にある一部の郵便局で始め、対象エリアの拡大を目指しながら再配達の負担を減らす。
値上げやコスト構造改革を推進することで、多様化する消費者ニーズに応える柔軟なサービスに転換させていくことが必要になっている。