好調ネット通販にTikTokの影
2023.12.18
2024年に創業30年を迎える米アマゾン・ドット・コムが「内憂外患」に悩まされている。
祖業の電子商取引(EC)事業はお膝元の米国でTikTok(ティックトック)など新勢力の挑戦を受ける一方、グローバル展開は足踏みする。
創業者のジェフ・ベゾス氏が築いた成功モデルも修正を迫られ始めた。
「アマゾンよりも消費者と直接つながれる」。
韓国発の化粧品ブランド、ラブ・アンド・ペブル創業者のポール・トラン氏はTikTokのECプラットフォームとしての可能性に期待を寄せる。
顔を冷やし、肌質を改善するスキンケア製品は紹介動画が400万回再生されたのをきっかけに米国で大ヒットした。
TikTokは9月、動画やライブ配信で興味を持った商品をアプリ内で即座に購入できる「TikTokショップ」のサービスを米国で正式に始めた。
年末商戦が本格化する11月下旬の「ブラックフライデー」に向けたセールでは、8割引きの表示も並ぶ。
出品者に対しては送料や値引きの原資をTikTokが負担すると説明し、アマゾンなど競合するECサイトからの乗り換えを促す。
「いつまで続くか分からないが、大盤振る舞いだ」。
さっそくTikTokショップを使い始めたトラン氏はなりふり構わぬ営業攻勢に舌を巻く。
ユーザーの動画視聴履歴に基づき興味のありそうな商品を推薦し、ライブ配信などを通じて消費者の購買意欲を刺激する手法は「インタレストコマース」と呼ばれる。TikTokやその中国版の「抖音(ドウイン)」を運営する字節跳動(バイトダンス)などが中国で磨き上げた手法だ。