物流24年問題
2024.01.12
経営トップの5割が供給網を「変更」
時間外労働の上限規制で運転手不足が懸念される物流の「2024年問題」への対応を企業が急いでいる。
具体的には、サプライチェーン(供給網)の変更や共同配送、配送頻度を減らす、といった対策に動き出した。
増える物流コストを製品やサービスの価格に転嫁する試みも今後模索されそうだ。
日本経済新聞が23年12月7〜21日に調査した社長100人アンケートで「2024年問題」について聞いた。
物流業界の時間外労働の上限規制の適用は24年4月以降だが、調査時点で対策の実施などなんらかの影響を見込むのは有効回答企業129社のうち92.2%にのぼった。
対策を実施しても「懸念がある」との回答は42.6%だった。
東芝の島田太郎社長は「『運べないイコール売り上げがたたない』という事態になるため、事業に直結している問題だ」と危機感をあらわにする。営業や生産部門を巻き込んだ対応を開始したという。
具体的にどのような影響が出るかについては、自由記述で聞いた。
ある製造大手は「運賃や在庫管理コストの上昇」と回答。
「運賃上昇が施工コスト増につながる懸念」(不動産)、「物流コスト増による取引先からの値上げ要請を受け入れざるを得ない」(電機)など、コスト面の負担が重くなる影響を挙げる経営トップが多かった。
コストが業界の垣根を越えた共通の懸念であるのに対し、業務方法の見直しに関わる影響については、業態や個社の事業内容によって、深刻度に差がある。