ヤクルト宅配員と不用品回収 眠る66兆円発掘
2024.06.14
メルカリは5日、ヤクルトの宅配員に家庭の不用品回収を委託する実証実験を広島で始めたと発表した。
宅配員が家庭を個別に訪問し、不用品を「発掘」、フリマアプリ「メルカリ」で売る。メルカリなどの試算では国内の家庭に眠る隠れ資産は66兆円を超える。フリマアプリの成長が鈍るなか、出品数を増やして取引機会を増やす。
「この辺のものは持ち帰っていいんだよね?」「新聞もあるから包むのに使ってや」。
4日、広島県三次市の黒田良子さん(91)宅を訪れたヤクルトの宅配員は黒田さんとこんなやり取りをかわした。
黒田さんは80年以上続く家業の陶器販売店を今年に入り閉店、売れ残り品の処分に困っていた。
黒田さんはメルカリの名前は「知らない」。
ただ週に1回程度訪れるヤクルト宅配員が悩みを聞きつけ話をすると、安心したように提案に耳を傾けた。
宅配員にとっては負担が増えるが「嫌という気はない。
信頼を深められる」と表情は柔らかい。
実証には広島でヤクルト宅配を担うヤクルト山陽(広島市)と広島県三次市、安芸高田市が参加。
行政も関わる取り組みで、安心してやりとりできる。
ヤクルト山陽は中小事業者が出品する「メルカリShops(ショップス)」上で回収品を売る。
商品が売れると、ヤクルト山陽は売上金の1割をメルカリに手数料として支払う。
今回の実証では残った売上金は自治体や福祉団体と連携した社会貢献活動に使う。
不用品提供者への還元はない。