アマゾンジャパン（東京・目黒）は5日、北海道でも注文翌日に荷物が届く「翌日配送」を始めたと明らかにした。全47都道府県で翌日配送に対応したことになる。トラック輸送と比べて輸送費が高い航空便も活用する。物流網への負荷低減のために翌日配送縮小の動きが広がるなか、アマゾンは逆張り投資でブランド力を高める。

「物流ネットワークの整備にはコストが伴うが、十分に投資に見合った見返りがあると信じている」。アマゾンジャパン傘下で物流事業を統括するアマゾンロジスティクスのアヴァニシュ・ナライン・シング代表は同日、翌日配送の地域を拡大する意義を強調した。

札幌市など7市町村を対象とする。前日の正午までの注文で他の地域向けと同等の品目数、700万点以上の商品を翌日配送する。自社倉庫で在庫を管理する生活必需品を中心に対応する。アマゾンの有料サービス「アマゾンプライム」の会員は追加料金なしでサービスを受けられる。

これまでは首都圏の大型倉庫から北海道にある最終の出荷拠点への幹線輸送は、トラック輸送と海上輸送だった。一部を全日本空輸（ANA）の羽田―新千歳便に切り替える。翌日配送の商品を中心に今後は1カ月に数十万個の商品を空輸し、トラック輸送網への負担も減らす。

一般的に航空輸送はトラック輸送に比べて数倍から10倍程度の費用がかかる。アマゾンは旅客機の貨物スペースに余裕がありANAも有効活用をめざす日中便を使って輸送コストを抑える。ただ輸送コストが高い早朝や夜間便も活用し、輸送コストは増えるとみられるが、増加分はアマゾンが負担する。