デジタル給与払い開始 「勝者総取り」狙う
2024.09.30
デジタルマネーによる給与の支払いが25日にスタートした。制度解禁を受けた第1号として、ソフトバンクグループ(SBG)10社は同日、希望する社員に対して9月の給与をグループ内のスマートフォン決済であるPayPayで支払った。SBGの孫正義会長兼社長が掲げる「勝者総取り」をデジタル給与で狙う。
政府は2023年4月にデジタル払いを解禁した。サービス運営の事業者になるため申請した複数社のうち、24年8月9日にPayPayを指定した。SBG各社に続き、日本瓦斯(ニチガス)やサカイ引越センターなどPayPayでのデジタル給与払いを希望する企業も2024年内に開始できる見込みだ。
「朝スマホをみてお小遣いが入ったような感覚で嬉しい」。25日に5万円のデジタル給与を受け取ったSBGの通信子会社ソフトバンクの社員、和田楓さん(27歳)は、日々の食事や日用品の購入に使うほか、ゆくゆくは資産運用にも充てる考えだ。
企業が導入するためには、企業側と従業員の間で労使協定を結ぶ必要がある。PayPayで受け取れる給与は20万円が上限だ。不定期の仕事でも給与を受け取りやすくなるため多様な働き方を後押しするほか、消費や投資のお金の流れが変わる可能性もある。
SBG10社は従業員4万4000人のうち希望社員にPayPayで給与を払うようにした。数千人とされるPayPay社員の7割が登録したという。