イオンはネットスーパーの配達網を活用した新たな広告事業を始めた。500人の配送員がネットスーパーの顧客に新商品の試供品を手渡し、反応や評価を分析して広告主に報告する。小売業者による広告は米国で先行するが、IT（情報技術）を使うのが一般的だ。対面販売の強みを生かすイオンの手法は、広がる市場に刺激を与えそうだ。

ネットスーパーの配達網を活用

子会社のイオンネクスト（千葉市）が首都圏で展開するネットスーパー「グリーンビーンズ」の配達ネットワークを使う。広告主のメーカーから試供品（サンプル品）の提供を受けた後、効果のありそうな消費者を選び、グリーンビーンズの配送の際に配送員が手渡しする。

消費者は同封のQRコード（2次元バーコード）から専用サイトに入り、試供品の評価をイオンに送信する。イオンは消費者の個人情報を保護しつつ、反応や意見を分析して広告主に伝える。広告主は購入履歴から、消費者が新商品に移行したか、固定客になったかも確認できる。

2023年7月に開始したグリーンビーンズの会員は現在、首都圏に最大40万人強いる。広告主は試供品を配達する地域や期間を指定し、それに伴う広告料をイオンに支払う。試供品の対象は食品や日用品が基本となる。