1000万人配達員担う 長時間労働深刻に
2024.03.04
中国で飲食店から料理を届ける「フードデリバリー」の拡大が続いている。2023年の市場規模は30兆円を超え、3年間で2倍以上に増えた。
美団と餓了麼(ウーラマ)の大手2社で配達員は計1000万人規模に達する。
市場の成長は配達員の割安な収入や長時間労働に支えられている面があり、社会保障の整備など課題も多い。
中国南部広東省の広州市にあるオフィス街では平日昼間、黄色や水色のユニホームを着た多くの配達員が電動バイクで駆け回る。
ここ数年、中国各地の都市部で当たり前になった光景で、黄色が美団、水色がウーラマの配達員だ。
中国でフードデリバリーは20年からの新型コロナウイルス禍を受けて一気に普及した。
行動制限が解除された現在でも、配達料は5元(約100円)程度を払えば、近くの店なら注文後に30分程度で届くという利便性の高さもあって社会に根付いた。
調査会社の艾媒諮詢の予測では、23年の中国のフードデリバリーの市場規模は1兆5254億元(約32兆円)で、20年に比べ2.3倍に伸びた。
国聯証券は「30年には2兆2千億元を超える可能性がある」と指摘する。
配達員も増え続けている。美団は22年に624万人の配達員が同社の配達で収入を得たとしており、18年の270万人から2倍以上に増えた。
ウーラマでも22年5月〜23年9月に400万人超の配達員が活動したという。