他社の宅配物も受け取りOK
2024.01.29
ある人は大手宅配便の箱を、別のある人は通販会社の箱を引き取っていく。物流大手セイノーホールディングス(HD)が北海道旭川市に開いた会員制の宅配物受け取り拠点「マトメル旭川」の日常風景だ。ドライバーが不足する中、最終的な配達を担う「ラストワンマイル」の課題解消へ実験を続ける。
再配達を減らすため宅配ボックスを設置するマンションが増え、物流・通信販売会社は駅などでの受け取りや不在時は玄関前に届ける置き配などを実施している。ただ宅配ボックスの数には限りがあるため、各社の努力だけでは配達できない荷物も出てしまう。
セイノーHD執行役員の河合秀治氏は「会員になってマトメル旭川を受取場所に指定すると他社の宅配物でも受け取れる。私書箱のような存在だ」と説明する。会員登録さえ終えれば現在は無料で利用できる。
マトメル旭川は2023年8月、JR旭川駅から1キロメートル弱の場所に設けた。周辺には道の駅や博物館、アリーナがある。河合氏は「旭川市と周辺町を合わせた商圏人口は約40万人に及ぶ。マイカーで移動する人が多く実験場所として最適だ」と指摘する。
同様の受取場所は同年10月に東京・世田谷にも開いた。地方中核市で車社会の旭川市と、電車やバスなどの公共交通機関の利用者が多い東京23区で並行して検証を続けている。