1990年代半ば以降に生まれたZ世代など若者へのスマートフォン利用が広がり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一時期はリアル店舗での買い物ができなかったことも重なり、アジア各国でスマートフォンでのライブ動画を通じてインフルエンサーが商品を販売する「ライブコマース」の市場が拡大している。
今後は北米でも利用者が広がるという見方は強く、仏調査会社リポートリンカーは2022年に5267億ドルだった世界動画コマース市場は、28年に2兆7900億ドルへ広がると予測する。
「アジアの中では、特に中国と韓国がリードしている」と話すのは、ライブコマースを中心とする動画配信プラットフォームを開発するシンガポールのBeLive Technology（ビライブテクノロジー）のケネス・タン最高経営責任者（CEO）だ。
若者世代は日々の生活の中で、ノートパソコンやクレジットカードを持つよりも先にスマホを利用し始めた。
日々のすき間時間には動画サービスに親しんでいるだけに、動画を通して買い物を楽しむのは自然な流れといえる。
物流システムも整備され、注文をすればすぐに届く。
ただそれは日本でも同じ。
日本でライブコマースが定着していない背景には「インフルエンサーの文化の違いがある」とタン氏は分析する。
例えば、中国のインフルエンサーは巧みな言葉遣いで商品の売り文句を流れるように伝える訓練を積んでおり、単刀直入に要点を伝えることに慣れている。